片恋シリーズ~鎌田公一編~
列は少しずつではあるものの、きちんと一定の速度で前へ進む。
そうして二階の階段を上りきったところで他人の空似かと思う後ろ姿を見つけた。
「わー! 先輩っ、すっごいかわいい子がいますよ!」
「あ、本当。美人さんだね?」
同級生の下田(しもだ)が声をあげ、隼人先輩が応じる。
さらりと髪が揺れてこちらを向いたのは御園生だった。
「みそ、のう……?」
曇りのない目が俺を捉えた。きちんと目が合ったという実感を得て言葉を紡ぐ。
「やっぱり、御園生だ……。久し、ぶり」
普通に喋りたいのに、どこかイントネーションがおかしくなってしまう。
御園生は目を思い切り開いて、「鎌田くん?」と名前を呼んでくれた。
直後、御園生は一緒にいた女子に知り合いかと訊かれ、「中学が一緒で……」と話す。 ただそれだけのやり取りの末、俺は目つきの険しい女子に睨まれた。
「へぇ……中学が、ねぇ?」
そうして二階の階段を上りきったところで他人の空似かと思う後ろ姿を見つけた。
「わー! 先輩っ、すっごいかわいい子がいますよ!」
「あ、本当。美人さんだね?」
同級生の下田(しもだ)が声をあげ、隼人先輩が応じる。
さらりと髪が揺れてこちらを向いたのは御園生だった。
「みそ、のう……?」
曇りのない目が俺を捉えた。きちんと目が合ったという実感を得て言葉を紡ぐ。
「やっぱり、御園生だ……。久し、ぶり」
普通に喋りたいのに、どこかイントネーションがおかしくなってしまう。
御園生は目を思い切り開いて、「鎌田くん?」と名前を呼んでくれた。
直後、御園生は一緒にいた女子に知り合いかと訊かれ、「中学が一緒で……」と話す。 ただそれだけのやり取りの末、俺は目つきの険しい女子に睨まれた。
「へぇ……中学が、ねぇ?」