全部、抱きしめて
いつもなら、敏感に体が反応してすぐに受け入れてしまうけど......。

今日はその行為が悲しい。

「やめて下さい」

あたしがそう言うと動きを止めた。

「こうしないと起きないかと思って」

「あわよくばしようと思ってたくせに」

「何だよその言い方」

「どうせあたしはセフレなんでしょ? 体があればいいんでしょう?」

あたしは続けてこう言った。

「もう嫌だこんな関係......」

大瀬良さんが掴んでいたあたしの手首を引っ張り上半身の体を起こしてくれる。

ボロボロとまた涙が溢れてきた。

「今日の由里子は泣いてるか、口開けば嫌だ嫌だ言ってるな」

「だって......」

「あのさまずさ、何がどうして嫌なのか言ってよ」
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