全部、抱きしめて
「元カレ、その辺ウロウロしてるんじゃないか? ストーキングしてたりして」

「もう何言ってるのよ? 早く窓閉めて寒いから」

直也が窓を閉めてすぐに、あたしを抱きしめてきた。

「な......直也?」

「元カレとの再会はどうだった?」

「どうもこうもないよ。あたしが好きなのは直也だもん」

そりゃあびっくりはしたけど。
胸がときめいたなんてことは一切ない。

「元カレが現れたくらいで、動揺してオレってダサイな。気になってしょうがない」

「あたしも気になってしょうがない事あるんだけど」

「何?」

「直也には前の奥さんとの間に子供いなかったのかなって」

聞いてしまった。
心臓がバクバクと高鳴っている。

「子供はいなかっよ。もしいるなら、由里子には理解してもらってつき合ってるよ」



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