全部、抱きしめて
「偶然出くわした振りして、デートを邪魔するのがオレの役目みたいな感じでさ。当然、女はつまんないよね?」

「そうですね」

「そんで女は怒って帰るんだよな。厄介男! って怒鳴られたこともあるし。そんなことが4、5回はあったな」

「えー⁉︎ そんなに⁉︎」

「オレはそれなりに楽しかったけどね。だから今回も邪魔してやろうかと、昔を思い出して悪い虫がうづいたんだよな」

「別にあたしは邪魔されてる気はしませんけど?」

まぁ。不思議な感じはするけど。

「でもさ、上司に秘密知られて、不安にならない?」

「不安に? あぁ。バラされたらどうしようとかですか? 長谷部さんはそんなこと言いふらかすような人じゃないって分かってますから」

「一岡、甘いね」

長谷部さんは、今まで見せたことないような意味深な笑みを浮かべた。




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