全部、抱きしめて
「直也とのことバラされたら困るよね?」

「困ります」

「バラされたくなかったら、オレともデートしてよ。それが口止め料」

「はぁ?」

わけが分からない。
今、目の前にいる上司は何を言っているんだろう?

「直也とのことバラされたくないんだろう?」

そう言って、長谷部さんはあたしの両手首を掴んだ。

ダラダラダラダラ。
冷や汗がひたすら出てくる。
長谷部さんって、こんなチャラい人だったの?

「今度、デートしよう」

「嫌です。無理です」

全力で首を横に振る。

「デートが無理なら、キスでいいや。案外、直也より上手いかもよ?」

「冗談やめて下さい!」

手首を強く握られているせいか、自由に
体を動かせないでいるとーー。
< 39 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop