恋はしょうがない。〜初めての夜〜 + Side Story ①&②



「すごい……!!」


ホッとしたのと嬉しいのとで、真琴は顔を輝かせた。
こんな枯葉だらけの中から、小さなプラスチック片を一枚見つけだすなんて、本当に真琴には信じられなかった。


「お義父さん!本当にすごいです!ありがとうございます!!」


真琴が自分の感激を素直に表現する。すると、


「だから、俺は、こういうの得意なんだよ」


と、古庄の父親もまんざらでもなさそうにニンマリと笑った。



それから車に乗り込むと、再び父親はもと来た道を爆走する。
また真琴は、怖さのあまり何もしゃべれなくなり、ただ黙ってこの激しい揺れに耐えるしかない。



キキ―――ッ!!



突然、前触れもなく、父親はセダンの高級車を停車させる。
真琴は前のめりになるのを、ダッシュボードに片手をついて何とか耐えた。



「…何?どうしたんですか…?」


真琴がそう尋ねているのにも耳を貸さず、父親はドアを開けて車から出る。そして、前方の道路わきに積み上げられていた木材から、5、6枚のシイタケを調達して戻ってきた。

それで、真琴もその木材がシイタケを栽培する榾木(ほだぎ)だということに気が付いた。


「お義父さんはシイタケの栽培もなさってるんですか?」


再びハンドルを取る父親に、そう尋ねてみる。


「いや、シイタケは作ってないよ。さっきのは他所のうちの山だしね」


「……!?じゃあ、今のシイタケは…。勝手に採ってもいいんですか?」


――もしかして、泥棒してきたんじゃ…!?


一つの疑念がむくむくと真琴の中に、頭をもたげてくる。




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