恋はしょうがない。〜初めての夜〜 + Side Story ①&②

古庄の過去





真琴が気がつくと、座敷の真ん中に敷かれた布団の上に寝かされていた。


記憶をたどって、岩風呂でのぼせてしまったことを思い出す。



「……!!」



とっさに布団の中を覗いて、自分の姿を確かめてみたら、…来た時に着ていた服を身につけていた。



「ああ、気がついたかい?キレイな下着を着せるのに、勝手にキャリーケースを開けさせてもらったよ」


真琴の気配に気がついて、晶が隣の部屋から声をかけてくれた。
そこは応接室にしているのか、和室の中に立派なソファーセットと格調高いテーブルが置かれている。


「あの…お義姉さんが服を着せて下さったんですか?」


「もちろん。あの状況じゃ、私以外いないだろう?」


その事実を聞いて、真琴はまた気が遠くなった。


いくら女同士で、意識がなかったとはいえ、裸の自分を晶にさらしたとは。

あまりにも恥ずかしすぎて、再び布団に潜り込んで身を隠してしまいたかったが、そうするのをグッと我慢する。


「ご迷惑をおかけしました。ありがとうございます」


真琴は起き上がると、布団の横で正座をし、深々と頭を下げた。
そして、頭を上げるのと同時に、古庄の母親との約束を思い出す。


「そうだ…!お義母さん…」


早く行かなければ、夕食の準備も終わってしまう。
真琴はすぐさま立ち上がって、布団を片付けにかかった。


「ああ、そういえば。夕食の準備はもういいから、ゆっくり休んでって、うちの母親が言ってた」


晶がそう言うのをを聞いて、真琴はガックリと肩を落とす。
古庄の母親に、あてにならない嫁だと思われなかっただろうかと…。




< 116 / 158 >

この作品をシェア

pagetop