恋はしょうがない。〜初めての夜〜 + Side Story ①&②



ある時、その子が古庄の家に遊びに来たことがあった。

その時、紹介された姉の晶を一目見て、その子の態度がそわそわと落ち着かなくなった。
その頃高校生だった晶は、もうすでに眉目秀麗なオーラ全開で、その容姿の端麗さはこの近隣では知る人ぞ知る存在だった。

晶の方もその子に興味を持ったらしく、古庄のことはそっちのけで、二人で盛り上がり始める。古庄は蚊帳の外にされた挙句、晶に命令されて、お茶やお菓子を運ばされた。

釈然としないながらも、姉の言うことには逆らえず、せっせと古庄が給仕をしていた時に、襖の隙間から目撃してしまったのだ…!



晶がその子とキスをしているところを……!!



晶を見上げるその子の、うっとりとした夢を見ているような眼差し…。

まだ幼い中学生だった古庄には、その光景は強烈過ぎた――。
愕然として何も言えず、見て見ぬふりをすることしかできなかった。



それ以来、その出来事をずっと忘れたいと思ってきたが、その時の光景は、今でも古庄の脳裏にしっかりと焼きついたままだ。


その時の女の子と、真琴の姿がオーバーラップする。

もちろん真琴の方がずっと可愛いが、そう言えば少し似ているかもしれない……。
だからこそ、晶は真琴にも興味を持つだろう。


こうしている間にも、真琴は晶の毒牙にかかってしまっているのではないかと、古庄は心配で爆発しそうになった。



――俺の真琴に手出ししやがったら、タダじゃおかない…!!




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