恋はしょうがない。〜初めての夜〜 + Side Story ①&②
「母さんが、7時になったら夕食にするから降りてきてって、言ってたよ」
「わかったわ。ありがとう」
真琴は、依然として古庄を睨んでいる正志を部屋から追いやり、ドアをバタンと閉めた。
くるりと古庄の方を向いて、ハァ…とため息を吐く。
「…あの子…。この前帰った時までは、子犬みたいに私の後をまとわりついてきてたのに…。」
真琴はそう言いながら丸テーブルの側に座り、紅茶を一口すすった。
「それに、お義兄さんが出来たって、きっと喜んでくれると思ってたのに…。」
古庄も真琴の向かいに座り、その顔を覗き込む。
「…突然のことに、驚いてるんだよ」
真琴にそう語りつつも、先ほどの正志の目つきを思い出して、自分の方がそうであってほしいと思う古庄だった。