恋はしょうがない。〜初めての夜〜 + Side Story ①&②
「ごめんなさい…。あなたをないがしろにするつもりなんてなかったんだけど…。でもね、私は結婚をして幸せになれたから。それを否定しないで。正志ちゃんも私の幸せの中の一部なのよ?」
「…幸せって。お姉ちゃん、アイツと結婚して幸せになれると思ってるの?お姉ちゃんはアイツにダマされてるんだよ。今はいいけど、そのうちきっと泣かされるんだから!」
「和彦さんはそんな人じゃない。とても誠実で立派な人よ?それに、何のために私をダマすの?私たちの間に、嘘なんてないわ…」
真琴はそう言いながら、上着の裾をギュッと握った。
正志を説得するどころか彼の言葉に翻弄されて、涙が込み上げてくる。
「ほら!そんな風にお姉ちゃんは信じ込むから、ダマすのなんて簡単なんだよ。もし浮気をしても、お姉ちゃんが奥さんだったら隠し通せると思ったんだよ」
「正志!いい加減にしなさい!!」
姉弟のやり取りを傍で黙って聞いていた母親は、見るに見かねて口を出した。
そうやって母親が助けてくれても、真琴の中の悲しみはどんどん大きくなっていく。
「どうしてそんなこと言うの?正志ちゃんがそんな風に、人のことを侮辱する子だなんて思わなかった…。そんな正志ちゃんは、好きじゃない…」
そう言葉を絞り出すと、堪えきれずに涙が零れ落ちた。
「そう!お姉ちゃんが好きなのは、アイツだけなんだよね?でも、それって、アイツの見た目にのぼせてるだけなんだよ!!」
「……正志!!」
正志がそれ以上ひどいことを言わないように、母親は大きな声を出して制した。
けれども、それくらいで正志の暴走は食い止められなかった。今度は矛先を母親へと向ける。