ルージュのキスは恋の始まり
「はは」

 百合ちゃんが乾いた笑いを浮かべる。

 大河のマンションに戻ると、ペンダントは大河の寝室のベッドの上に置いてあった。

「何で今日みたいな大事な日に忘れたんだろう?」

 用意周到で完璧主義者の大河にしてはあり得ないミスだ。

 車に戻ると、急いで撮影所に向かう。

 でも、・・・・あれ?

 ペンダントを百合ちゃんに渡せば、私が撮影所に行く必要はないんじゃない。

「ねえ、百合ちゃん」

 私が運転席の百合ちゃんに声をかけると、百合ちゃんの肩がびくって震えた。

「私が撮影所に行くのは不味いんじゃないかな?」

「で、でも、・・大河さんのマンションに戻る時間はないんです。美優さん、ごめんなさい」

 百合ちゃんが吃りながら私に謝る。
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