ルージュのキスは恋の始まり
 玲王に言われるまま吸って吐いてを繰り返すと、過呼吸は治まった。

「もう大丈夫だな?」

 玲王が私の瞳を覗き込む。

 私がコクリと頷くと、それを見ていた監督が苛立ったように声を荒げた。

「モデルは変更だ。病気のモデルなんて使えん!」

 監督の言葉に身体が震える。

 そんな私を気遣って玲王が私の髪を優しく撫で、監督に向かって冷たい声で言った。

「モデルの決定権は俺にある。勝手な変更は認めない」

 監督がそれを聞いてわざとらしく舌打ちする。

 現場の雰囲気は最悪だった。

 そこにずっと静観していた大河が割って入る。

「監督、俺に10分くれますか?彼女を泣かせて見せますよ」

 大河は監督に向かって余裕の笑みを浮かべると、私の手を掴んだ。
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