ルージュのキスは恋の始まり
 確か西園寺とかいう国会議員の娘。

「前に1度だけあった高飛車な女のことか。あんなの無視無視。じじいが決めたんだろうけど、政略結婚なんて時代錯誤も良いとこだ」

 そもそもあんな不細工、俺の好みじゃない。

 あの変わり者のじじいが本当にそれを望んでるとは思えない。

 何か裏がある。

 そもそもアメリカでフラフラしていた俺を日本に呼び寄せてアンジュの社長に勝手に決めた理由もわからない。

 じじいはお前にチャンスをやるとか言ってたが、何を企んでるかわからない。

「でも、西園寺家は、味方の少ないあなたのいい後ろ楯になりますよ」

「荷物になるの間違いだろ?」

俺が吐き捨てるように言うと、片岡の表情が険しくなった。
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