ルージュのキスは恋の始まり
「玲王!」

「俺を信じろよ。ああいう輩は後で絶対裏切るし、邪魔になる」

 片岡の目を見据えて告げると、こいつは渋々納得した。

「・・・玲王の勘は当たりますからね。株でだって相当儲けたでしょう?それこそ、うちの会社の年間売り上げくらい」

「どうだったかな。金だって次の瞬間には消えてなくなる。信じられるのは自分だけだ」

 自嘲気味に呟いて、ふと考える。

 こいつは俺を裏切るだろうか?

 思わず首に手をやる。

 消えない痕と消えない感覚、そして消えない記憶。

 あの時じじいが現れなければ、俺は死んでいたかもしれない。

 俺を助けたという点では、じじいに感謝してやってもいい。

 だが、俺は誰も信じない。

 信じる気もない。

 自分の力だけを信じて突き進んでやる。
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