ルージュのキスは恋の始まり
16、悪夢再び ー 美優side
「おい、もういい加減起きろ」

 玲王の声が聞こえる。

 いつもなら大河が優しく起こしてくれるのだから、これは夢に違いない。

 だから、起きなくても害はないはずだ。

 それに、こんなに温かくて気持ちいい。

 まだまだ寝ていたい。

「いや。もうちょっと」

 夢の中の玲王に邪魔されたくなくて、温かい物体に身を寄せる。

「いやじゃない。早く起きないと襲うぞ」

 ちょっとイライラしている感じの玲王の声が何故か耳元で聞こえる。

 耳が生暖かいって思ったら、いきなり何かが自分の耳朶をカプッて噛んだ。

「ギャー!」

 何?

 何が起きたの?
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