ルージュのキスは恋の始まり
 結局、一睡も出来なかった。

 だが、会社を休む訳にはいかない。

 淡々とスケジュールをこなし、美優がいなくなってから3日後の朝を迎えた。

 今、俺が手に持ってるのは今日発売の週刊誌と西園寺の娘が美優に渡した封筒。

 西園寺のスケジュールを調べ、奴の事務所にやって来た。

 奴がここにいるのはわかっている。

 西園寺の取り巻き連中の制止を無視してずかずかと奴のいる執務室に入る。

 西園寺は数十万はする黒いレザーの椅子にふんぞり返りながら座って電話をかけていた。

 そんな奴に向かって俺はあの万札をばらまいた。

 ヒラヒラとたくさんの万札が宙を舞う。

 それを見た西園寺は呆気に取られていた。

「これはあんたの娘に返す」

 もうこんな奴に敬語など使う必要はない。
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