ルージュのキスは恋の始まり
 それから映画の試写会の舞台挨拶が終わると、すぐに東京に戻り百合ちゃんに内緒で彼女のマンションに来た。

 マンションのエントランスで彼女の部屋番号を押すと、彼女が固まっていた。

 俺の登場によほど驚いたのだろう。

『た、大河さん、どうしてここへ?』

「美優、いるんでしょう?」

『えーと、えーとそれは・・・・』

「百合ちゃんが美優と作ったお弁当を返しに来たんだけど」

『・・・・』

 俺の言葉に百合ちゃんが黙り込む。

「入れてくれるよね?」

 俺の有無を言わせぬ言葉に百合ちゃんが渋々頷いた。

『・・・はい』

 この時、俺は事態がそんなに深刻とは思ってなかった。

 百合ちゃんに鍵を開けてもらい中に入る。

 玄関には美優の靴が置いてあった。
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