ルージュのキスは恋の始まり
 だが、誰が心配などするか。

 こんなうるさいじじいがいなくなったところで俺は何とも思わない。

「ああ、片岡の息子の卓人か。お前には苦労かけるな」

 片岡の声で初めてじじいが片岡の存在に気づくと、片岡は苦笑した。

「そんなに私は影が薄いですか?」

「いや、この馬鹿が悪目立ち過ぎるだけだ」

 じじいが俺を殴ろうとするのでひょいと避けると、じじいは歯軋りして悔しがった。

「会長は本当に玲王さんが可愛いんですね」

 片岡の目が笑っている。

「やめろ。気持ち悪い」

 このじじいの態度からどうしてそんな答えが導かれるのか理解出来ない。

「それで、再建の目処は立ったのか?」

「ああ、今までの古くさいイメージを一新する」

「ほお、どうやって?」

 じじいの目の色が変わる。
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