ルージュのキスは恋の始まり
「今までそれが認められてたんですから酷い会社ですよ」

「こんなん俺が目を通す必要もないだろ、お前が処理しろ。全部却下だ」

「ふふ。私は悪者になりたくはありませんからね」

 片岡さんがちょっと意地悪な笑みを浮かべる。

「ほんと狡い男だよ、お前は。もう今日は帰るぞ」

 龍神社長がすたすたとドアの方へ歩き出したので、私も慌ててソファから起き上がった。

 すると、彼は何か思い出したように立ち止まる。

「橘、お前、どうやって帰るつもりだ?体調は?」

「ご迷惑おかけしてすみませんでした。もう大丈夫です。でも、私は今回の異動納得してませんから。それに、あなたが勝手に異動を決めなければ、私の体調も・・・・‼」

 私が文句を言い終わらないうちに龍神社長がスーツのジャケットを私の顔面目掛けて投げる。

「ごちゃごちゃ煩い。送ってく」

「でも・・・・」
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