ルージュのキスは恋の始まり
「心配しなくても、片岡もいるしお前みたいな煩い女には手を出さない。そんなに心配ならお前が自分の家まで運転しろ」

 仏頂面で言うと、龍神社長はまたすたすたと歩き出す。

 私が彼のスーツのジャケットを持ったまま困っていると、片岡さんが微笑んで言った。

「彼の言葉を翻訳すると、また倒れたら大変だから送ってく。要するに心配なんですよ。素直じゃないですけどね」

「・・・・」

「さあ、行きましょうか。モタモタしてるとますます彼の機嫌が悪くなる。お腹を空かせたライオンを怒らせると怖いですからね」

「・・・はい」

 あまり気乗りしなかったが、仕方なく龍神社長の後を追う。

 自分の中で戸惑いを感じていた。

 初対面の印象が悪かっただけに龍神社長を酷い男と思ってしまったけど、それは間違いだったのだろうか。
< 76 / 391 >

この作品をシェア

pagetop