いつだってそこには君がいた。



廊下を走って、階段を駆け上がっている途中。
階段を踏み外して勢いよく転けた。



「……っ!」



いったぁ……。


見事にすねを階段の角にぶつけた。痛い、痛すぎる。


ジンジン広がる鈍い痛みに歯を食いしばった。


そしてそのまま座り込んで涙を流す。


……消えちゃいたい。


私、なんでこんなんなのかなぁ?


もっと器用に。もっと上手に、生きたい。

不器用な自分がとことんイヤだ。


友だちも、好きな人も。


初めてのことだらけで、どうしたらいいのかわからない。


友だちと好きな人が同じだったら、どうしたらいいですか?


初めてできた友だちを大切にしたい。
だけど、好きな人を諦める方法もわからない。


ウソのつき方もわからない、自分の不器用さ加減に呆れる。


普通に。なんてことないみたいに。


沙月ちゃんに「好きな人なんていないよ」って言えれば良かったのにね。


……でも、だけど。


初めてできた友だちに好きな人の話、したい。
高橋くんが好きだよって言いたい。


楽しく恋バナ、したい。


そんな願い、きっと、したらダメだよね?


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