いつだってそこには君がいた。



柔らかな風が私の頬をなでる。

ニコッと笑った沙月ちゃんに面食らう。



「ふふっ、でも、嬉しかったよ」


「え?」


「優梨ちゃんが私のために悩んで、でも隠したくないって本当のこと言おうって、思ってくれたこと」


「沙月ちゃん……」



じわじわ目に涙がたまる。

嬉しくて、本当に沙月ちゃんと友達になれて良かったって思うから。


こんな素敵なことってないよ。



「お互い頑張ろうねっ」


「うん……っ!」



沙月ちゃんの言葉に泣きながら、笑う。

勘違いして遠回りしたけど、これからはお互いにお互いの恋を応援できる。


たくさん、恋バナだってできるね。


笑いあう私と沙月ちゃんの間にはとても温かくて優しい雰囲気が流れていた。


そして教室に入ると、偶然にも高橋くんと目が合って。
思わず笑い返すと高橋くんも笑ってくれた。


心配してくれてたって、自惚れてもいいのかな?


変わる。変わっていく。


私が。私を、取り囲む環境が。


そんな素敵な予感しかしないの、不思議なの。


転校してくるまえはこんな未来が待ってるなんて予想もしてなかった。


予想もしてなかった未来が私を待っているのかもしれない。


そんな未来を想像できるこんな幸せ、はじめてだ。


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