いつだってそこには君がいた。



そして私が届かなかったところを消していく。


……今ね?


胸が小さくキュンって鳴ったよ。
高橋くんには聞こえてないかもしれないけれど。


可愛らしい、音が。



「あ、ありがとう」


「いいえ。いつもありがとな」



首をふるふる振ると高橋くんはニコッと笑った。
その笑顔があまりにかっこよくて。眩しくて。
私は目を見開いて、頬に熱がこもるのを感じた。


……目を、合わせていられなくなる。


不自然に目をそらして、にやけそうになる頬を必死に制御する。


目の前に高橋くんがいるだけでドキドキして苦しいの。なんとかしたい。


息も心なしか吸いづらい。



「……っ……」



その場から逃げるように自分の席に戻る。


最近、というか。
高橋くんのことを好きだと自覚してからというもの、高橋くんと会話を続けることが難しい。


好きで、目を合わせて話すことが、恥ずかしくてたまらなくなる。

心が、爆発しちゃうんじゃないかと本気で考えたりするぐらい。


他のクラスメイトと会話してる時にはしない緊張をしてしまう。



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