いつだってそこには君がいた。



ドキドキして、胸がギューっと痛む。



「うぶ……!」



目をつむったまま歩いていたから誰かとぶつかってしまって、不甲斐ない声をあげる。


デコをおさえながら目を開けると目の前にはこちらに振り向く結城くん。


どうやら結城くんの背中にぶつかってしまったようだ。



「ご、ごめんなさいっ」


「べつに、気にしてないよ」



ぱっちりした高橋くんの目とは違って切れ長の結城くんの目が私を見ている。


背が高いからいつも見下ろされているんだけど、なんというか……妖艶。


すごく大人っぽい。

同じ中学生とは思えない。


高橋くんのことはアイドルみたいだと思うけど、結城くんはモデルみたいだと思う。


似た者同士で人気者のふたりだけど、やっぱり対照的だなあと思うの。



「ゆりりんって小さいよね?」


「えっ……148センチだよ」


「ちっさ!」


「な……!」



失礼な……‼︎

本当のことだけども……‼︎


この前の出来事のあとから結城くんには「ゆりりん」と呼ばれるようになった。


ニックネーム?かな?



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