陽だまりをくれたきみが好き。



「あ……猫……」



駅のホームを抜けて学校に向かって歩く私を気どったように追い抜かして行った真っ黒な猫。


……かわいい。


まだ学校まで時間あるし、追いかけてみようかな。


なんて軽い気持ちで猫ちゃんに気づかれないように後をつけて行った。


どんどん進んでいく猫ちゃんを驚かせないようにそうっと早歩きで追いかける。



「あっ……」



そして。


抜け道を行って、たどり着いた先には、小さな公園の端の芝生。


そこにはボロボロのダンボールがあって。


猫ちゃんが入っていったそのダンボールを優しい眼差しで見下ろす男の子がいた。


金髪で、端整な、顔立ち。


……あの人。


昨日帰りにぶつかった男の子だ。



「……なに?」



不意にバチッと目が合って、睨まれるような鋭い視線を向けられて、胸がキリキリした。


ヘビに威嚇されたネズミのような気分。



「いえ、あの……ごめんなさいっ……」



彼の雰囲気が怖くて、逃げようとした時。


ダンボールからひょこっと猫ちゃんが出て来たかと思うと、迷わず私の足にすり寄って来て。


か……か、かわいい……!!


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