ずっと[短編]
6.ずっと
 最初は四十九日までだと思っていた。でも半年経った今も彼女はあたしたちの家に住んでいる。次は一年、二年とその日々を数えていくかと思うと、寒気がした。

 あたしだけではない。拓もあたしと同じような目に遭っていたのだろう。
 彼の体が日に日に細っていくのが分かった。


 物音がすると絶対にそちらを見る。

 彼女から身を守る術をあたしは知らない。

 誰にも相談できない。

 誰に相談していいかもわからない。

 あたしたちは綾が目の前に現れると、二人の距離を置く。


 どちらが言い出したかも分からない。

 ただ自然とそうなっていたのだ。
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