ずっと[短編]
 「お前が憎いのはこいつなんだろう? こいつと離婚したらこいつについていくのか?」

 そう言う拓。

「あたしを裏切る気?」

 あたしの言葉に拓はあたしを睨む。

「だいたい、お前が綾と友達ってことを黙っていたからいけないんだろう?」

「二股をかけていたのはそっちでしょう? 言わなかったくせに」

 あたしたちには新婚の頃のような気持ちはなくなっていた。

 今は顔を合わせるだけで言い争うようになっていた。


「憎い? そんなことあるわけないでしょう?」

 彼女は微笑む。あたしたちを順に眺める。




「二人とも大好きだよ」

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