裏腹な彼との恋愛設計図
高校時代、私達とは別のクラスだった翔吾くん。

朝海は卒業後、友達の結婚式で彼と再会するまで話したことはなかったみたいだけど、私は委員会で一緒になった時期があった。

──三好くんも一緒に。


高三のクラス替えで三好くんと同じクラスになり、最初の席替えで彼の隣になった。

教科書を忘れた私に、何も言わず貸してくれたり、先生に当てられて困っている時に、さり気なくノートを見せてくれたり。

そんな優しさに惹かれて彼のことを密かに好きになった私は、少しでも近くにいたいがために、彼を追って同じ委員会を選んだ。


おかげで接する機会が増えたのはよかったのだけど、気さくに話し掛けてくれた翔吾くんともまあまあ仲良くなったわけだ。


「そうしたら三好くんのことが好きだってバレちゃったんだよね」

「もうバレバレ。紗羽は思いっきり否定してたけど」

「だって翔吾くんあけっぴろげだから、すぐ噂広まっちゃうと思って。それに、あの頃はまだ三好くんのことが好きだって知られるのは、なんとなく嫌だったし……」


“あんな暗いヤツが好きなの?”とか、“趣味悪い”ってバカにされそうで、私は自分の気持ちをひた隠しにしていたのだ。

朝海にさえも、打ち明けるのに勇気がいるくらいだったし。

< 112 / 280 >

この作品をシェア

pagetop