裏腹な彼との恋愛設計図
両手で口を覆い、石像のように固まったままの私に、柊さんは髪を適当に直しながら意地悪な笑みを浮かべる。


「マヌケな顔」

「っ……ひ、柊さん! いい今すぐ説明してください、説明!!」


私があわわと動き出すと、彼は私の右手を取ってソファーから立たせた。

まるで王子様が姫をエスコートするような動作に、ドキドキは加速するばかりだ。

そして彼は、朝海に目を向けると、営業用のような笑みを浮かべて言う。


「ちょっとこいつ借りるね、紺野さん」

「へっ……!?」


目を丸くする朝海。

紺野(コンノ)というのは彼女の名字だ。それを知っていることからして、彼が私達と一緒に高校生活を送っていたのだと確信出来る。


無愛想な王子様は周りの目も気にせず、私の手を引いて会場の外へ向かって歩き出した。

その間も、「あの人誰?」、「あんなイケメンいたっけ!?」なんて声がちらほら聞こえた。

皆はわからなくて当然だろう。でも、私は毎日彼を見ていたのに気付かなかったなんて……

私のどアホーーー!!

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