裏腹な彼との恋愛設計図
そう、俺は早く戻りたいのだ。愛する人がいる、あの場所へ。


本音を言うと、すぐにでも会って話したいくらいなのだが。

父親の件もあって、毎日家に帰るのは夜遅いため、鈴森と会うにはお互い休日でなければ厳しい。

だが、新科店の定休日は火曜で本社と一日ズレている。

俺が休みの日に会いに行こうかと思ったが、たまたま新科店の皆が開いてくれるという歓迎会と重なってしまった。


なかなか会う時間が取れず、もどかしさと焦燥がじわじわと募っている。

しかし、空いた時間は新科店での客の情報を頭に入れることのほか、両親から聞いた俺達の家の要望をまとめたり、土地を探すために使いたくもあった。

それはとても充実感があり、前以上に仕事を楽しく感じるようにもなっている。


やらなければいけないこと、やりたいことが一気に芽を出してきて、恋愛のことばかり考えていられない。

だが、父親が無事退院したら、すぐあいつに会いに行こう。


そう決めて仕事に打ち込む、ある日の就業時間後。

「お疲れ様」と私服姿の杏奈が、オフィスで一人居残る俺の前に笑顔で現れた。

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