裏腹な彼との恋愛設計図
新科店に併設されたショールームは、なかなか都合が良い。

本社には併設出来るほどの土地がなく、見学する時は離れた場所にあるショールームに客と一緒に車で移動しなければならないが、こちらではその手間が省けるから。

ただ、一つだけ俺個人にとっての問題があるとすれば、この杏奈がいることだろう。


「毎日こんなに遅くまで残ってるの? 大変ね」

「……今日は仕事じゃない。個人的な趣味で」

「なにそれ」


前任のプランナーが使っていたデスクの上に広げた、たくさんの線が書き込まれた用紙を覗き込んで、杏奈は軽く首をかしげる。


「……設計図? 隼人が書いたの?」

「まぁな」

「どうして? 設計士さんに任せればいいじゃない」


俺にも設計図を書くことは出来る。が、設計士の資格はないから業務では行えない。

だからこれはただの趣味。

だが、仕事でも設計を行うようになりたいと、もう一度設計士を目指したくなったのだ。


「ある人の家を、自分で設計してみたくなったんだ」

「ある人……?」


意味がわからないと言うように、眉根を寄せる杏奈。

そんな彼女を気にも留めず、腕時計を見た俺は設計図を片付け始めた。

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