裏腹な彼との恋愛設計図
キョトンとして見つめ合った私達は、ぷっと同時に吹き出した。

もしかしたら、私達って似た者同士なのかもしれない。


そんな偶然のおかげで、少し緊張が解れた。

きっと同じだろう矢城くんは、雑誌を棚に戻すといつもの可愛い笑顔を見せる。


「まずは腹ごしらえですかね。紗羽さん、行きたいとことか食べたいもの何かあります?」

「そうだなぁ、やっぱりイタリアン? あ、でも定食屋さんも好きだよ。ちょっと汚くて、サラリーマンのおじさんがいっぱいいるようなとこ」


そういうお店こそ、安くてボリュームあって、美味しかったりするんだよね。

と、駅前の通りを眺めながら言うと、矢城くんは突然クスクスと笑い出す。


「どうかした?」

「いや、紗羽さんってほんと飾らない人ですよね。自然体で、素直で。そういうとこが俺は……」


コホンと咳払いをして、言葉を濁す矢城くん。

ドキリとする私に、彼は頬をほんのり赤く染めて、はにかみながら言う。


「じゃイタリアンにしましょう。いつも以上に可愛い紗羽さんを、おじさんばっかりの店には連れていきたくないんで」

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