裏腹な彼との恋愛設計図
「あ、や、あのぉ……!」


自分の失言に急激に恥ずかしくなって、口をパクパクさせていると。

珍しくぶはっと吹き出した柊さんが、綺麗な顔をくしゃっとさせて笑った。


わ……こんな時にこんな笑顔をお目にかかれるとは……!

ちょっぴり感動する私に、柊さんは悪戯っぽく右の口角を上げて一言。


「あ、そう。じゃあ舐めてくれる?」


目を見開く私と矢城くん。

私達の「えぇぇ!?」という叫び声が重なって響いた。

意地悪そうに目を細める柊さんは、あたふたする私達に言い放つ。


「ばーか。傷舐められて喜ぶのは鈴森みたいなドMだけだ」

「よ、喜びません!」


もう~、怪我してるっていうのに人のことからかって……。


「冗談言ってないで本当に早く手当てしましょう!?」

「うるせぇな……わかったよ」


渋々承諾した柊さんとともに立ち上がり、呆然と私達のやり取りを見ていた矢城くんに告げる。


「矢城くん、私これからこの人ウチで手当てしてから会社に戻るから」

「え……!?」

「じゃあ、お先に!」

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