裏腹な彼との恋愛設計図
「じゃ、また明日」

「はい……」


あぁやっぱり、気まずさはあるけど離れがたい……。

コロコロと変わる、忙しい私の乙女心。

パタンとドアが閉まり、彼の姿が見えなくなると、急激に寂しさが襲ってくる。


さっき、少しだけ距離が縮まったような気がした。私が都合良く考えているだけかもしれないけれど。

それが、このままでは何もなかったことにされてしまいそう。


あんなに彼のプライベートスペースに入り込めたのは、ただのアクシデント。

それでも、ほんの一瞬でも私達の間に甘い空気が漂ったのは、きっと思い過ごしじゃないはず。

そう思いたいし、何もなかったことになんてしたくない──。


気が付くと私は、ドアを開けて走り出していた。


「柊さん!」


アパート脇に停めた社用車の鍵を開けていた彼は、怪訝そうに私を見やる。


「どうした?」

「あの、言い忘れたことが……」


ハテナマークを浮かべているような彼を、まっすぐ見据えて口を開く。

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