彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「俺、誰にでもチュウしない~してないぞ~」
「な!?嘘つき!今まで、酔って僕にキスしてきたじゃ―――――――――」
「キスなんかしてねぇーの!」
ドンッ!
「わ!?」
引っ張っていたところを、体当たりされる。
「み、瑞希お兄ちゃん!?」
「む~!」
足元をふらつかせる彼を、反射的に抱きしめる。
それに答えるように、瑞希お兄ちゃんも私の体を抱きしめた。
抱き合う姿勢。
最近は、よくしている体勢。
でも、この瞬間のハグは違った。
「『チュウ』とぉ、『キス』は違う。」
「え!?」
アヒル口を作りながら言う瑞希お兄ちゃん。
その顔が私へと近づいたかと思うと、
「キスってーのは・・・・・」
「あ・・・?」
真面目な表情でつぶやかれた。
「こういうの・・・・」
「――――――!?」
少しだけ、赤い唇が私の唇と重なった。
(〇×△$%▽%&%×●~~~~~~!?)
何が起きたか理解できなかった。
一気に、思考も何もかも、すべてぶっとんで真っ白になる。
「んっ・・・」
硬直する私をよそに、瑞希お兄ちゃんは、小さな声をもらしながら普通の顔で口づけてくる。
(う、うそ!?キスしてる・・・・・・・・!?)
「ううう!?」
自覚した瞬間、顔が熱くなる。
真剣に私にキスしてくる瑞希お兄ちゃんの顔を見ていられなくて、目を閉じる。
そうしたら、グッと顎を掴まれて、唇通しの密着が強くなった。
「ふっ・・・!?んっ・・・・!」
熱い。
顔全体が熱い。
のぼせる。
体中の血が沸騰してるみたい。
「んっ、んっ・・・」
「あ・・・あん・・・♪」
自分じゃない声が漏れる。
それに戸惑っていれば、くっ付いていた唇が少しだけ離れる。
(お、終わった!?)
慌てて目を開ければ――――――――
「!?」
二つの瞳が私を見ていた。