彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「俺、誰にでもチュウしない~してないぞ~」

「な!?嘘つき!今まで、酔って僕にキスしてきたじゃ―――――――――」

「キスなんかしてねぇーの!」




ドンッ!


「わ!?」





引っ張っていたところを、体当たりされる。



「み、瑞希お兄ちゃん!?」

「む~!」



足元をふらつかせる彼を、反射的に抱きしめる。

それに答えるように、瑞希お兄ちゃんも私の体を抱きしめた。

抱き合う姿勢。

最近は、よくしている体勢。

でも、この瞬間のハグは違った。




「『チュウ』とぉ、『キス』は違う。」

「え!?」





アヒル口を作りながら言う瑞希お兄ちゃん。

その顔が私へと近づいたかと思うと、




「キスってーのは・・・・・」

「あ・・・?」




真面目な表情でつぶやかれた。






「こういうの・・・・」

「――――――!?」






少しだけ、赤い唇が私の唇と重なった。





(〇×△$%▽%&%×●~~~~~~!?)





何が起きたか理解できなかった。

一気に、思考も何もかも、すべてぶっとんで真っ白になる。



「んっ・・・」



硬直する私をよそに、瑞希お兄ちゃんは、小さな声をもらしながら普通の顔で口づけてくる。





(う、うそ!?キスしてる・・・・・・・・!?)

「ううう!?」




自覚した瞬間、顔が熱くなる。

真剣に私にキスしてくる瑞希お兄ちゃんの顔を見ていられなくて、目を閉じる。

そうしたら、グッと顎を掴まれて、唇通しの密着が強くなった。




「ふっ・・・!?んっ・・・・!」




熱い。

顔全体が熱い。

のぼせる。

体中の血が沸騰してるみたい。




「んっ、んっ・・・」

「あ・・・あん・・・♪」




自分じゃない声が漏れる。

それに戸惑っていれば、くっ付いていた唇が少しだけ離れる。



(お、終わった!?)




慌てて目を開ければ――――――――



「!?」




二つの瞳が私を見ていた。
< 688 / 1,276 >

この作品をシェア

pagetop