彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




あえて、誤解を解かなかったことで、瑞希お兄ちゃんの機嫌は良くなる。




「凛!例え今夜、他の族や半グレ、ポリ公と喧嘩することになっても、旗だけは守りきれ!ちゃんと持って帰るんだぞ?」

「わ、わかりました・・・!旗共々、無事に帰還するように頑張りますが・・・・でも。」

「『でも』、なんだ??」




渡された特攻旗を持ちながら、瑞希お兄ちゃんに聞いた。





「これを持って・・・単車に乗るんですか・・・・?」





質問のお題は、渡された特攻旗のこと。





「応援団が使うような大きな旗を・・・持って運転しろとおっしゃるのですか・・・?」





やっと、人間を乗せて運転できるようになったところ。

そんな私に、重たい旗を持ちながら、片手運転しろというの?




(練習もなしに困るよ!)




〔★無茶振りだった★〕




怖々聞けば、さわやかな笑顔で瑞希お兄ちゃんは言った。




「あははは!難しく考えるなよ~!まずは、単車に乗ってみろ!」

「え?」

「ほら、いいから早く早く!」

「え!?えっ!?ええ!?」




瑞希お兄ちゃんに言われるがまま、押されるがままに、バイクにまたがる。

乗ったところで、彼は渡しの背後へと回り込む。




「そのまま動くなよ~凛?」

「瑞希お兄ちゃん!?」

「初体験だらけの凛のために、今回は軽めのポールにしておいた。烈司、たすきくれ!」

「はいよ。」




瑞希お兄ちゃんの指示を受け、初代親衛隊長が動く。

ポケットからたすきを取り出すと、瑞希お兄ちゃんへとスムーズに渡した。




「サンキュー!」



片手にたすき、もう片手に旗を持ちながら、瑞希お兄ちゃんはつぶやく。




「このたすきで、凛の背中にポールをくくりつけて~」

「きゃ!?あはははは!く、くすぐったいよぉ~お兄ちゃんっ!」




背中に手を入れられたと思ったら、引っ掻き回された。

こそばゆい感覚に、ゲラゲラ笑ってしまう。




「コラコラ。動くなって!」

「だ、だっ、て・・・!あははははは!」




くすぐったさがようやく終わった時、背筋に冷たいものが密着していた。



< 893 / 1,276 >

この作品をシェア

pagetop