彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
あえて、誤解を解かなかったことで、瑞希お兄ちゃんの機嫌は良くなる。
「凛!例え今夜、他の族や半グレ、ポリ公と喧嘩することになっても、旗だけは守りきれ!ちゃんと持って帰るんだぞ?」
「わ、わかりました・・・!旗共々、無事に帰還するように頑張りますが・・・・でも。」
「『でも』、なんだ??」
渡された特攻旗を持ちながら、瑞希お兄ちゃんに聞いた。
「これを持って・・・単車に乗るんですか・・・・?」
質問のお題は、渡された特攻旗のこと。
「応援団が使うような大きな旗を・・・持って運転しろとおっしゃるのですか・・・?」
やっと、人間を乗せて運転できるようになったところ。
そんな私に、重たい旗を持ちながら、片手運転しろというの?
(練習もなしに困るよ!)
〔★無茶振りだった★〕
怖々聞けば、さわやかな笑顔で瑞希お兄ちゃんは言った。
「あははは!難しく考えるなよ~!まずは、単車に乗ってみろ!」
「え?」
「ほら、いいから早く早く!」
「え!?えっ!?ええ!?」
瑞希お兄ちゃんに言われるがまま、押されるがままに、バイクにまたがる。
乗ったところで、彼は渡しの背後へと回り込む。
「そのまま動くなよ~凛?」
「瑞希お兄ちゃん!?」
「初体験だらけの凛のために、今回は軽めのポールにしておいた。烈司、たすきくれ!」
「はいよ。」
瑞希お兄ちゃんの指示を受け、初代親衛隊長が動く。
ポケットからたすきを取り出すと、瑞希お兄ちゃんへとスムーズに渡した。
「サンキュー!」
片手にたすき、もう片手に旗を持ちながら、瑞希お兄ちゃんはつぶやく。
「このたすきで、凛の背中にポールをくくりつけて~」
「きゃ!?あはははは!く、くすぐったいよぉ~お兄ちゃんっ!」
背中に手を入れられたと思ったら、引っ掻き回された。
こそばゆい感覚に、ゲラゲラ笑ってしまう。
「コラコラ。動くなって!」
「だ、だっ、て・・・!あははははは!」
くすぐったさがようやく終わった時、背筋に冷たいものが密着していた。