【完】ヴァンパイア、かなし
「僕だって疲れてますよ。でも、顔に出にくいだけ、です」


「んーそっか。確かにエルザはそういうの出にくそー、何となく」


勘が鋭いような、そうじゃないような。満島先輩程不思議な人はいなかっただろう。


「さてと、エルザの大変身で色々飛んじゃったけど、言いたいことは山ほどあるだろ?な、和真?」


走って少し汗をかいた満島先輩は、ブレザーの上を脱ぐと、胡座をかいたその膝に勢い良く手を置いて話を切り出した。


「いや……うん。そうだな。しかし、エルザ、いきなりどうしたんだ?アルビノの症状、気にしていただろう?」


「それは、黒染めの染料が前々からあまり合わなくて。体調崩した時に皮膚にも来てしまったので。元々スプレータイプで毎日染めていたので止めました。止めたらあの長い髪だと目立つからと、母がこの髪型に」


理由は、昨日から予め用意していた。先輩達じゃなくとも、きっと誰かがそれを聞いてくると思ったからだ。


「そうか。私は、今の方が君には合うと思う。せっかくの綺麗な顔が見えないのは勿体無いからな」


また、この人は僕に「綺麗だ」と言った。僕は綺麗なんかじゃない。理由は分からなくとも、僕は赤嶺先輩を食べてしまいたい化け物だというのに。
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