幼馴染みはイジワル課長
最初からずっと碧だけ…

ずっとずっとあなたが好きだった…





「てゆうか、梨絵の前でこんな事したら「ウザ」とか言われるだけだったかな」

「アハハ」


確かに。梨絵がうざがってる顔が目に浮かぶよ。

だけど…梨絵の前で、こうして結婚を誓う事が出来て本当に良かった。


ありがとう碧…







「さてそろそろ帰るか」

「そうだね」


シャンパンを飲み終わった私達は、片付けを済ませた後帰る事にした。





「梨絵!また来月来るね~」


梨絵の墓石に挨拶をしたあと、備えた紙コップに入ったシャンパンに一枚の桜の花びらが入った。





「置いてくぞ」

「あ、待って~」


桜の花びらをなんとなく見ていたら、先に歩き出している碧が私を呼び、慌てて追いかけようと墓石に背を向けた時だった…





ーーーおめでとう。





え…



思わず後ろを振り返った。

今、確かに梨絵の声で「おめでとう」って聞こえた気がしたから…



梨絵…

今の梨絵だよね?


私が酔ってるだけ?違う…

確かに梨絵だった。



怖いという感覚はまるでない。

反対にすごく嬉しくて、心が温かくなる。





「桜花?何やってんだ」


急かす碧を見て、私は前を向いて小走りで走り出した。

そしてぼそぼそとした小さい声で、「ありがとう、梨絵」とつぶやいた。






「本当にとろいな」

「ごめんてば」


やっと碧に追いつくと、私は口を尖らせながらとりあえず謝る。


ちょっとくらい遅れたっていいじゃん。

私は今、梨絵に会ったような気がして喜びに浸ってたんだからねっ




「どっかで飯食って帰るか」

「そーだね」


碧は自然に私の手を握ると、スマホで近くの美味しくておすすめのレストランを探し始める。




「飯の後…結婚式場覗いてみる?」

「え!いいの?」

「もしかしたらウエディングドレスとか試着出来るかも」

「本当!?」


夢見たい!

ウエディングドレス着るのって、碧のお嫁さんになる次に夢だったの!!!





「お前のウエディングドレスなんて…多分馬子にも衣装だけど、まあ着ないといけないから仕方が無いよな」

「な、何よー」


怒る私を見て、碧はケラケラ笑いながら小走りで走り始めた。




「ちょっと待ちなさいよ!」


碧を追いかけて、思い切り腕を引っ張る私。




「お前…会社の上司にそんなことすんのか。また厳しくしてやる」

「い、今は会社じゃないもん!」

「ふーん…じゃあこうしてやる」

「きゃあっ!」


碧はそのまま私をひょいと持ち上げると、すきをついたように口にちゅっと軽くキスをしてきた。




「ちょっ…ここ外だよ!?」

「いーじゃん。こんな墓地の近くに誰もいねえよ」

「もうっ…」


怒った口調なのに、私は唇の両端を上げて微笑んだ。

そしてその瞬間、もう一度改めて胸の中で彼との愛を誓った。






END
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