幼馴染みはイジワル課長
「…冷たっ」


すると突然頬に冷たい感触が当たりビクッと体が反応してしまう。振り返ると碧が缶ジュースを私の頬に後ろから当てていた。





「はい。紅茶で良かった?」

「…うん、ありがとう」


紅茶を受け取ると、碧は私の隣に来て自分用に買った飲み物をプシュッと開けた。私はそれを横目で見ながら自分も紅茶を開けて一口飲む。

泣いた後で痛い喉に冷たい紅茶がスっと通って、心も体もすっきりしたみたい…一旦間を置いたあと頭の片隅にあった密かな決意をハッと思い出す。




そうだ…

私…碧に告白するって決めたんだっけ…


今は2人きりだしここに誰か来る確率はかなり低い…

告白するなら今かもしれない…


…そうかもしれないけど…

ここで告白しても帰りの車の中も碧と2人きりだし…それは気まずいな。






「…仕事サボるなんて久しぶりだよ」


ぼんやりと景色を眺める碧はすごくリラックスしているような表情で言った。こんな碧の顔は久々見たかもしれない…仕事ではいつもピリピリした顔をしてるし…

碧の片手には昔から好んで飲んでいるコーラを持っていて、それを時折飲む碧の横顔はとてもかっこよく見えた。





「ごめんなさい…私のせいで仕事をサボらせちゃったね」

「あんなにビービー泣かれたら俺もさすがに仕事に行かせられないよ」


クスクスと笑う碧に少し恥ずかしくなり、一瞬ムッと膨れる。





「だけどお前の気持ちはわかるよ。わかるってゆうか…お前ならあの場面で泣くだろうなって」

「…予想できたってこと?」

「ああ。人生経験も恋愛も少ないお前が友達のあんな不倫ストーリーを見せられたら泣くよ」

「う、うるさいな!」


私が泣いたわけを読まれてる…さすが幼馴染みのお兄ちゃんなだけあるな。






「本当にすいません…」


ペコッと頭を下げて謝ると、碧はケラケラ笑ってまたコーラを一口飲んだ。





「…部長……本当に奥さんと別れるのかな…」


もう涙が出る事もないと思うし、また部長の話に戻ってもいいよね。




「…別れると思うよ」


キッパリと言い張る碧を少し不思議に思っていると、碧は続けて口を開いた。




「さっきの部長を見てればわかる。部長は奥さんに対してこれっぽっちの愛情もないよ。部長の気持ちは山城にあると思う…」

「…」

「山城ととりあえず別れたから部長はかなりへこんでるよな。奥さんと別れてから山城とよりを戻すんだろうけど、その間は会えないわけだからそれが一番辛いんだろうな」


そうなのか…私はてっきり奥さんとの事で疲れきってるのかと思ったけど、部長は歩未ちゃんと会えないからあんなに抜け殻みたいになってたのね…

部長はそんなに歩未ちゃんのことが好きなんだ…
< 52 / 127 >

この作品をシェア

pagetop