危険なお見合い
お見合い仕切り直し
優理香は菅谷やスタッフのみんなとおいしい田舎料理の朝食をとって凌路と帰っていった。


「どこへ行くの?」


「原点にもどるのさ。」



優理香がたどりついたのは矢崎美沙子が女将をしている料亭だった。



「おばさん・・・どうしたの?」


「どうしたもこうしたもないでしょ。
あんたたちのお見合いをやりなおすのよ。」



「やりなおすって・・・。
べつにお見合いなんてしなくっても・・・私たちいっしょにいるんだし。」


「だめよ、スタートがお見合いだったんですから、私に最後まで面倒見させてくれないと、世話人としての信用が落ちちゃうわ。」



「ツッコむところはそこなの?」



結局、美沙子の強い要望でお見合いの続きという形で、2人は向かい合った。


「誤解とかいろいろトラブル続きだったけど、俺は優理香に決めたから。
これを受け取ってください。」


「えっ?
指輪・・・なんて手回しのいい。」


「手回しがいいなんて言わないでくれるかな・・・俺は今日は絶対に優理香にいい返事をもらえるように気合いれてここにのぞんでいるんだからな。」


「ま・・ぁ・・・あの・・・ほんとに私でいいんですか?
姉のこともあるし、ご迷惑かけちゃうかもしれないのに。」


「大丈夫。俺が優理香が真面目でがんばりやな女だってよく理解してるからな。
もう誤解することもないし、わからないと思ったことは何でもきくことにする。
どうだ?
指輪してくれる?」


「はい。ありがとうございます。
うわっ、ぴったり・・・だわ。」


「あたりまえだ。君のことはいっしょにいて知り得ることは何でも記録をとっていたんだからな。
ちょっと、心の中までは記録できなかったけどな。」


「凌路さん・・・。
私の心の中のことは凌路さんの心の中に毎日記録してくれればいいの。」


「おお。で、結婚してくれますか?いや、してくれ!」


「ぷっ・・・はい。」



この後、美沙子の店で2人のお祝いと称していろんな特典が一般客にまでふるまわれた。

凌路の弟の凌太とホテルマンの面々も次々と2人のお祝いにかけつけ、にぎやかなお見合いはやっとおひらきになったのであった。



「えーーー!?結婚披露宴は凌太さんのホテルなのぉ・・・!」


と、美沙子叔母さんの叫び声があがったのもお見合いからわりとすぐのことだったそうな・・・。


「まさか、叔母さんとこで披露宴するつもりでいたの?」


「べ、べつにそこまでは考えてないけどね・・・2次会くらいは使ってほしいねぇ。
よく儲かるだろうしね。」


「叔母さん!!もう・・・。」





おしまい
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