run and hide


 ショックを受けずぎて、その後3日は私は使い物にならなかった。だから亀山に怒られる結果となったわけ。

 手が震えて正輝にメールも電話も出来なかったこの3日間の私だ。

 いざというときに弱気なんて笑えない。学生時代にバレー部で鍛えた根性はどこいったのよ!?

 ああ・・・ちゃんと自分から告白して、あの嵐の日に駅前で言った好きな男って正輝のことだと言うべきだ。

 それは判ってる。

 でも出来なかった。

 だけど、今日こそは、言わないとダメだ。

 あなたが好きだと。

 この4年間欲しかったのはあなただけだと。

 言わないと。


 ・・・・その内、仕事も首になる気がするし。


 屋上でタバコを吸いながら、気持ちを落ち着けた。そしておもむろに携帯を取りだし、正輝に電話をかける。

 呼び出し音が耳元で鳴り響く。

 ああ~・・・ジン・トニックが欲しい。

 1回2回3回・・・・

 ああ~・・・ジン・ライムでもいい。

 4回5回6回・・・・

 ああ~・・・このさいビールだって構わない。

 7回8回・・・

『はい、井谷です』

「正輝が好きなのよ」


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