星に輝くあなたを見つめて
雨がしっとりと肩を濡らす。

「‥‥こんな日に限って」

雨は嫌いだあの時を思い出すから。

忘れもしない
君がいなくなった

君を奪い去った雨



「びっくりしたか⁈」

「っ、いつもなんなの!」

この人は私のクラスメイトの一星
何かとかけて私にちょっかいをかけてくる

「わりいわりい!大丈夫か?」

「大丈夫だけどさ‥」

「じゃあ、これもってかえってや!」

「え?‥ちょ、待ってよ!」

あーあいっちゃった
傘も一緒に置いて

「‥ばぁーか」

一星は優しい
だから私を余計苦しめる
一星といると嫌でも思い出してしまう

「‥っ」

流星を失った最悪なあの出来事を


流星は私の彼‥だった人

一星の双子の兄で、
すごく気の合う優しい人だった

好きになるのにそう時間はかからなかった

流星もそうだったみたいで
いつしか私たちは付き合い始めた

付き合ってから
約一年になる頃のことだった

彼は交通事故で
帰らぬ人となってしまった

…私を守って




ちょうどこの時期のことだったろうか


もうすぐ三回忌がくるけど私は流星を
忘れたことは一度もない

あの笑顔
あの仕草

照れた時は決まって
恥ずかしそうに笑っていたよね

失って気づく些細なことに対する幸せ
私は遅すぎたんだ

いない人だとは分かっている
分かっているの

だけどあの温もり、優しさ、仕草が

どうしても忘れられない



流星に思いを馳せていた
そんなある日


私は一星に告白された。



「お前があいつの事
好きなんはよく

分かっとる
俺もお前のそばにおったから

だけど、俺も好きなんや

この気持ちは知っておってほしい」


私は正直驚いた
今までそんな素振り

なんて見せなかったのに

でも…

「‥ごめんなさい
今も私は流星を

心から愛しているの
だから、中途半端な気持ちで

あなたを愛することはでき、ない」


「分かっとる‥
でも、お前はそれでええんか?
あいつはもうおらん。

やけど、お前には‥」


「‥やめて!」

やめて
わかってる



…わかっているの



だけど私は‥

「‥悪かった
でも、よく考えろよ。

‥んで、わ、忘れんなよ。

じゃ、じゃあな!」


一星は優しい
だからこそ嫌い


「‥ごめんなさい
でも、分かってるの」


本当は流星のこと忘れなきゃいけないって

「雨、やんでる…」
いつの間にか
雨もすっかりやんでしまったようであった







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