いつかあなたに還るまで
好き…?
私が、彼のことを…?
また無意識に自分の唇に触れている志保を、宮間が目を細めながら眩しそうに見ている。本人は唇に触れていることも、見られていることも全く気付いていない。
「会いたいと思うようになっている時点で既に恋に落ちてるんですよ」
「…え?」
「志保様が今一番会いたいと思う相手はどなたですか?」
「……」
会いたい人…?
時間さえあれば、…ううん、なくてもいつも頭の中に浮かんでくる。
掴まれた手の温もりを、真っ直ぐな眼差しで自分を見つめている瞳を。
…そうしてゆっくりと近づいてくる彼の顔を____
……あぁ、なんだ。そうだったのか。
私は、私は…
「……霧島さんが…好き…」
噛みしめるように口にした言葉は本当に小さな声だったけれど、はっきりと志保の耳にも宮間の耳にも届いた。