いつかあなたに還るまで
薄暗い部屋に明かりもつけずにドサリと体をソファに放り投げると、ボフッという音と共に体が柔らかい布へ沈み込んでいく。背もたれに寄りかかると天を仰いでフーッと息を吐き出した。
「これで全ては整った…」
ぼそっと呟いた一言は薄暗い室内へとすぐに溶けていく。
これまで、自分のプラスになると思うものは全て利用してきた。
さっきの女、里香子だってその一人だ。相手をするつもりなどさらさらなかったが、見目麗しい容姿とそれなりの家柄。
自分を押し上げるにはそれなりの相手だと判断した。
だが蓋を開ければ自己中心的なただの我儘女。
自分に与えるメリットよりもデメリットの方が遥かに大きかった。
適当に相手をしてきたがいい加減うんざりしていた。
何の利益も生まない相手などさっさと切ってしまおう。
そう思っていた矢先だった。