いつかあなたに還るまで
この日、二人は晴れて夫婦となる。
その結婚式は、ここ、陽だまりの里で行われることになった。
それは他でもない、子ども達が切願したことだった。どんなに小さなものでもいいから、ここで二人をお祝いしてあげたいのだと。そんな子ども達の熱意に押され、夢のような結婚式は現実のものとなった。
何度も遊んだ庭には太陽の光が燦々と降り注ぎ、その中を新郎新婦が進んで行く。それを見つめる子ども達は一様にキラキラと目を輝かせていて、興奮冷めやらぬ様子にふふっと笑いが零れてしまう。
真っ白なタキシード姿の隼人に純白のウエディングドレス姿の志保。
その頭には瑠璃の想いがたくさん詰まった色鮮やかな花冠が飾られている。
やがて中央に辿り着くと、神父役の昔からお世話になっている職員の女性が、いつになく真剣な面持ちで正面に立つ二人を見つめた。
「今日の良き日、あなた方は晴れて夫婦となります。どんな苦しみも、どんな喜びも共に分かち合い、これから先の人生、ずっと共に寄り添って生きていくことを誓いますか?」
「「 はい。誓います 」」
タイミングを図ったわけでもないのに二人の声がピタリと重なり合う。
その力強い宣誓にようやくふわりと顔を綻ばせると、女性が指輪の入った台を差し出した。