音楽が聴こえる
て、ことは喧嘩の原因は少なからずあたしにもあるのか……。


「へぇ……ダイちゃんでも怒鳴るんだ」

あたしの間の抜けた感想に、佐由美さんが苦笑した時。

能天気そうな若い兄ちゃんの店員さんが、ビールと一緒に注文した冷奴とだし巻き卵、枝豆を持って来た。


「親父臭いセレクト。茉奈ちゃんらしいけど」

佐由美さんがトイレに行ってる間に頼んだものだから、この地味なチョイスを笑われた。

「佐由美さんが好きなの頼めって言ったんじゃん。あとモツ煮とネギマが来るよ」

彼女の軽口に付き合って、あたしも口を尖らせる。

「佐由美さんも何か頼めば?」

ホントは食欲なんて完全に落ちちゃったけど。

これ以上、佐由美さんの顔を曇らせたくなくって、味のしないだし巻き卵を機械的に飲み込み微笑んだ。




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