音楽が聴こえる
ーーー
飲み物が瓶ビールから芋焼酎のロック、よく分かんない銘柄の赤のハウスワインへと切り代わった頃、佐由美さんが話しを一巡りさせた。


「ねっ、茉奈ちゃん。なかやんと暮らしてるんでしょ? 楽しい?」

「……別に一緒に暮らしてる訳じゃ無いよ。家は近いし、ピアノは置かせて貰ってるけど」

「え? そうなの?」

佐由美さんの驚いた顔に、あたしは首を傾げる。

同棲してるって思ってた?

確かに悟のマンション、馬鹿みたいに広いけど。

どんな風に聞いて勘違いしたんだろ、佐由美さん。

「……あたしと悟ってさ、ちゃんと付き合ってる訳でも無いんだよね。何だろ……セフレ?」

あたしの解答に彼女は、口を何度か開けては閉じた。


あたしだって、あたし達の関係は何なんだろうって思ってる。

でも、ぼやけた始まりは曖昧過ぎて。

「ね、それって。なかやんが言ったことなの?」
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