音楽が聴こえる
そして『infinity』の音に、純粋に魅せられていたんじゃないかと思う。

それに加わることで、自分もその虹の端っ子を掴んだ気になっていたんだ。浅はかにも。





可笑しくもないのに勝手に溢れていたクスクス笑いが止まった頃、ようやく店を出た。


明るかった筈の空が薄紫の衣を纏い始めていて、えらく長居をしていたことに今更ながら気付く。

儲けの少ない客で、すまん。
いや、飲み物で儲けられたのか。



佐由美さんとは店の前で別れることにした。

専門学校時代の友人のひとりが結婚をするらしく、お祝いする約束しているのだとか。


飲みっぱなしじゃん、と飽きれたあたしの肩を佐由美さんはガシッと抱き締める。

「佐由美さん、これじゃヤバい女達みたいだよ」

あたしが笑って離れようとしても、彼女は騙されなかった。

「また、会おう?」

「うん。…………ダイちゃんとさぁ、ちゃんと仲直りしてね。佐由美さん」

あたしもハグを返して囁いた。







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