音楽が聴こえる
「あ、そう。……っとに、あいつコネあるくせにあたしに……」

香田がナニやら口の中でブツブツ呟いてる。

どうやら、悟さんに対する文句らしい。

俺等を押し付けられたことを、まだ根に持っていたようだ。


隣りに立ったままの俺に気付いて、ようやく口を閉じた。

「……大丈夫かよ、センセ。酒臭せぇけど」

「そりゃ、教師だって酒位飲んだら酔うよねー」

ふらっと歩いて、ガードレールに寄っ掛かる香田は、華奢な女に見えた。

「センセ、オトモダチはどうしたんだ?」

「さっき別れた、よっと」

今度はガードレールに腰掛け始めたが、危なっかしい。

「グラグラしてんのに何してんだよ」

俺の体は勝手に動いて、 香田の細い二の腕を支えるように掴んでいた。

「……休憩」

マジかよ。

「ここで? ……よーセンセ、マックで良いから行こーぜ」

別段、食いたい訳じゃねぇけど、道っ端にこの酔っぱらいを放置も出来ねぇし。
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