音楽が聴こえる
マジな話しは、謙二に任せよ。

「オーディション受けんなら、もっと練習しねーとな」

「でも、貸しスタジオ高いんすよ。俺らのバイト代だと限界なんで」

「うちの店じゃなー、おおっぴらに練習させられねぇんだよ。お前ら高校生だし」

悟さんは煙草を燻らせながら、考えてる。

「……ガッコーで出来ねーの?」

俺達は顔を見合せた。

「考えたことも無かったけど」

「貸してくれっかな」

「課外活動する時のルールとかあるんじゃん?」

「俺ら三年だから、先生達は嫌な顔するかもな」

それぞれの意見を口にする。


「……だったら巻き込んじまえば良いんじゃねーの? いるだろ、説明しやすいおあつらえ向きなのが」

「え、地味先のことですか? 引き受けてくれますかね。一曲目の途中で帰っちゃった人間っすよ」

「……お前ら次第だな。お前らの熱意が伝わりゃー、引き受けてくれんじゃねーの? ま、話してみろや」

悟さんは、ジーンズのポケットから取り出した携帯灰皿で煙草を揉み消し「じゃなー」と楽屋を出て行った。
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